てんしのひとみ | Best Production | ||
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2. | 家族の呼び方 | ||||||||||||||||||||||
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4. | 敬称になる職名とならない職名 | ||||||||||||||||||||||
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5. | その他の呼び方 |
職場で内部の人を呼ぶときに、本人や内部の別の人に話すとき、外部の人に話すときとでは、相手との人間関係によって変えなければなりません。
1.本人や内部の別の人に対して |
本人、または内部の別の人に対して話すとき、その職場の慣習に従った方がよいでしょう。
最近では、職名に「さん」をつけるところが多くなっています。本来の意味からすれば、職名そのものが敬称の役割を持つことが多いので、わざわざ、職名、職制上の名称に「さん」をつける必要はないわけです。職名は呼び捨てにするのが一般的です。
「課長(さん)にご相談したいことがあります。少しお時間を頂きたいのですが・・・」(本人に)
「部長(さん)は東北地方に、求人のため出張していらっしゃいます」(内部の先輩に)
「高橋課長は、今外出していらっしゃいますよ」(内部の下位の人に)
などのようになります。
・「社長(さん)」「○○社長」「社長」 ・「部長(さん)」「○○部長」「部長」 ・「課長(さん)」「○○課長」「課長」 ・「係長(さん)」「○○係長」「係長」 ・「主任(さん)」「○○主任」「主任」 ・「班長(さん)」「○○班長」「班長」 |
身近な人には、職制上の名称、職名をつけずに、苗字に「さん」をつけるだけのところもあります。
「佐藤さん、お客さんの名簿を見せてください」
「河野さん、この文章を直してくださいませんか」
2.外部の人に対して |
外部の人に対して内部のものを呼ぶとき、「さん」をつけるのは間違いです。苗字だけを呼び捨てにするのが一般的です。状況によっては肩書き、職名を呼ぶこともあります。もっとも相手が話題の人の親戚だとか、身内の人だったら話は別ですが、人間関係に応じて呼び方も変わってきます。
「林川は、ただいま外出しております」
「営業係長の笹原は地方に出張しております」
「部長の大谷は席を外していますので、呼んでまいります」
「専務はただいま会議に出席しておりますが、如何いたしましょうか」
「かしこまりました、佐々木を呼んでまいります」
このように第三者に話す場合、内部の物を指す呼び方はいろいろあります。しかし、社内の慣習で、本人に対しては「部長さん」とか「課長さん」などといっている人が、第三者だからといって、急に本人の前や同僚、先輩の聴いているところで、上司を呼び捨てにして「山田」「松尾」と姓だけ呼んだり、「部長」「課長」「係長」と職名だけ言うのは、感じとしてずいぶん抵抗のあるものです。そのようなとき、苗字に職名をつけて「原田部長」「三木課長」などと呼ぶと比較的抵抗がないというので、このような呼び方をしているところもあります。
その職場、立場、状況に合うような呼び方を工夫する必要があります。もっとも「職名」がすでに敬称を表すのだからこれも間違いという人もいます。厳密に言えばその通りです。言葉は慣習に従いますので、それを考えて使い分けるようにするべきでしょう。あまり窮屈に考えるなということもあります。
敬称も正しい使い分けをすることが、周りの人や聴き手に「節度のあるきちんとした職場だな」という印象を与えるものです。言葉遣いのルーズなところは、他の面でも何となくけじめがついていない、という感じを持たせてしまうものです。
3.職場での先生はどうするか |
「先生」という言葉は、大変便利なものです。営利を中心とした職場では敬称としてではなく、高い上位の人を呼ぶ代名詞としてとか、習い事を指導する人の職名、立場、役割という意味に扱われています。例えば、診療所の医師、社内の研修所の教官、講師を務める人などです。
しかし、学校で先生が生徒や父母に対して、仲間を呼ぶとき、「山口は今授業中です」などと呼び捨てにするのは、ずいぶん不自然な感じを与えてしまいます。病院で看護婦が患者に対して、医師を呼び捨てにして、「ただいま院長の浅野を呼んでまいります」というのは、語感として日本人にはなじみません。
学校、幼稚園、学会、研究所、講習所、病院、社寺、教会など、相手に対して強い奉仕的な内容を持つ職場では、「先生」という言葉は、内部のものを呼ぶときでも慣習として、そのまま用いて差し支えないと考えたらいいでしょう。
学校の教室内では、職名が「理事長」や「会長」であっても、「先生」と言った方が自然に聞こえます。「先生」という名称もその場にあった呼び方が必要です。
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社会人となった娘さんで、自分の親のことを他人に話すとき、「私のお母さん」とか「うちのお父さんはね」などといっているのをよく見かけます。本人は大して気にも止めないで話しているようですが、「いい年をして、子供じゃあるましし・・・」と、周りの人はずいぶん気になることがあるものです。
親の呼び方にも、耳になじんだ慣習があるからです。「お母さん」とか「お父さん」という言葉を「母」「父」と呼ぶようになるのは、何歳くらいからかというと、はっきりした基準があるわけではありませんが、大人になったら、親を呼ぶときでも、敬称の使い分けが必要になります。
私は、小学校の上級生になったら、「父」「母」という言葉になじませたほうがよいという立場をとっています。
以前、新聞のコラム欄に次のような話が出ていたので、印象に残っています。ある婦人が多くの人の中で子供に対して、「パパがすぐに帰ってくるから、先にかえっていてね」といったら、いわれた子供が、「お母さん、パパというのは誰なの」と、一生懸命尋ねていたというわけです。
普段使っていない言葉を使うから、子供には通じなかったのでしょう。「お父さん」の方が子供には分かったのでしょうが、どうしてこんなことになったのか、見栄なのか、そうだとすると悲しくなります。なぜ「お父さん」を「パパ」といい、お母さんを「ママ」というのでしょうか。子供にとって非常に単純で覚えやすいということもあって、ごく自然に出てくるというのならそれでもいいでしょうが、人の中だから格好をつけてというのであればまったく筋違いだと思います。
さてこれからは、親族や身近な人の呼び方について考えてみることにします。
話し方は、話し手と聞き手との人間関係、及び、話題の中に出てくる人との人間関係の度合いによって変わるものですが、人の呼び方もこれとまったく同じことが言えます。自分の親を呼ぶときと、相手、または第三者の親を呼ぶときとでは、当然のことながら変わります。話す場合は、さまざまな条件の組合せですから、言葉遣いもそれに伴って複雑に変化するものです。
自分の身内のものを身内の人に話すときには、あまり問題はないと思いますので、話し手の身内のものを他人に対して呼ぶとき、及び他人(聴き手、または第三者)の身内の人を本人以外の人に対して話すときの呼称について触れておくことにします。
1.(父)の呼称 |
★自分の場合・・・ちち、父親、実父、養父、おやじ、舅など
★他人の場合・・・おとうさま(さん)、おやじさん、お舅さん、お父上さまなど
第三者の場合には「○○のおとうさま」とか「○○君のおやじさん」などと、その人の名前を付けるのが一般的です。「おやじさん」は親しい仲間に限られます。その人自身に対して「○○君(さん)のお父さん」というのは、子供の場合が多いようです。
「父は今、外へ出ております」
「父が是非お目にかかりたいと申しておりました」
「おやじは年をとって、忘れっぽくなりましたよ」
「北見さんのお父さんも明治大学を出られたそうですね」
「この前、お父さんにお目にかかりましたよ」
2.(母)の呼称 |
★自分の場合・・・はは、母親、おふくろ、姑など
★他人の場合・・・おかあさま(さん)、おふくろさん、お姑さんなど
「母は、ちょっと買い物に出ております」
「母は実家が北海道なものですから、この連休にそちらへまいりました」
「おかあさまは、お元気でいらっしゃいますか」
「お住まいは、お姑さんとご一緒ですか」
「この前、会社からの帰り道、宮下君のお袋さんとぱったり出会いましてね」
「岸本さんのお母さんは、実に立派な方ですね」
3.(祖父)(祖母)の呼称 |
★自分の場合・・・祖父、祖母、老父、隠居、など
★他人の場合・・・おじいさま(さん)、おばあさま(さん)など
一般的には「おじいさん」「おばあさん」といえば、親の父、母のことですが、年をとってからだと、自分の父、母をさして「おじいさん」「おばあさん」という場合もあります。
「私の名前は、祖父が付けてくれたそうです」
「おじいさんは、相変わらずお元気ですね」
「祖母は躾に厳しい人でした」
「おばあさんは、今も九州にいらっしゃるんですか」
4.(夫)の呼称 |
★自分の場合・・・○○(姓だけ)、主人、うちのひと、夫、ハズ(親しくない人には使わない)宅など
★他人の場合・・・○○さん、ご主人(さま)、旦那さま(さん)など
相手に対して夫の姓だけをいうのは、都会的な言い方のようです。昔は「宿六」とか、「亭主」という人もいたようですが、ごく親しい人には言えても、誠に乱暴に言い方です。「ハズ」はハズバンドを略したものです。キザに聞こえるらしいので、相手によっては避けた方がよいでしょう。
「旦那様」は商家などでは使いますが、少し古めかしい感じがします。
「主人が大変お世話になりまして、ありがとうございます」
「○○(夫の名前)は、まだ会社から帰っておりませんが・・・」
「うちの人は、お酒が入ると駄目なんですよ、気が大きくなって・・・」
「ご主人様にも、どうぞ宜しくお伝えください」
「ご主人から、ご丁寧なお手紙を頂き恐縮しております」
「旦那さんがお買い物をしていらっしゃったので、驚きましたよ、普段でもなさるんですか」
5.(妻)の呼称 |
★自分の場合・・・家内、妻、女房、かみさん、愚妻、うちのヤツ、ワイフ、かかあ、など
★他人の場合・・・奥様(さん)、おかみさんなど
「かかあ」「かみさん」「おかみさん」は下町風な感じがあります。「ワイフ」はハズと同じで、あまりいい感じがしません。「女房」は少し砕けすぎるので、あらたまった場では避けたほうがよいという立場を私はとっています。「家内」を差別語だという人もいますが、私は公式の場では「妻」か「家内」がよいと考えています。
「子供は家内の実家に預けてあります」
「女房が里に行っているものですから、苦労していますよ」
「奥様もお勤めでいらっしゃいますか、それは大変ですね」
「おかみさんは商売上手ですから、ご主人は助かるでしょう」
「奥様にお伝え頂きたいのですが・・・」
6.(兄)の呼称 |
★自分の場合・・・兄、義兄など(慣習として「兄貴」もある)
★他人の場合・・・お兄様(さん)、○○君の兄貴など
「兄貴」は尊敬表現だから自分の兄には使ってはいけないという人もいますが、慣習的によく使われています。「兄」よりも少し敬意が薄くなっていると考えられているようです。「貴様」といくらか似たケースです。
「兄は今フランスへ留学しています」
「兄の仕事も私と同じコンピューターのソフトに関係しています」
「私は、兄からもらった1、000、000円の金で、××大学へ入学しました」
「Aさんは、お兄さんといくつ違いですか」
「お兄様は、何をしていらっしゃるんですか」
7.(姉)の呼称 |
★自分の場合・・・姉
★他人の場合・・・おねえさん(さま)など
「姉貴」という言い方もありますが、現在では「姉」よりも少しぞんざいになると考えられています。「あねご」はやくざ言葉です。
「姉は今出かけたばかりです」
「お姉様にはお子様が何人いらっしゃるんですか」
「おねえさんに案内をして頂いて、助かりました」
8.(息子)の呼称 |
★自分の場合・・・息子、子供、せがれ、豚児など
★他人の場合・・・ご令息、お子さん、息子さん、おぼっちゃま(ちゃん)、○○君など
「愚息」「豚児」は、書き言葉に使うケースが多かったようですが、今は死語になってほとんど使われていません。
「仕事の方はせがれが全部引き継いでくれましたので楽になりましたよ」
「もういい年になりましたので、息子に会社を譲りたいと思っています」
「お子さんは、もう大学ですか」
9.(娘)の呼称 |
★自分の場合・・・娘、子どもなど
★他人の場合・・・令嬢、ご息女、お嬢様(さん)、娘さん、嬢ちゃん、○○さま(さん、ちゃん)など
「娘が来年3月、大学を卒業します。早いものですね」
「子供の結婚のことで金がかかりますので、頭が痛いですよ」
「お嬢さんはまだ中学生ですか、これからが大変ですね」
「娘さんが、3人いらっしゃるんですか、うらやましいですね。私のところは男の子1人ですよ」
10.(おじ)(おば)の呼称 |
★自分の場合・・・おじ、おば、おじき、など
★他人の場合・・・おじさま(さん)、おばさま(さん)○○君のおじきなど
「おじ」「おば」という字は、漢字で書くといろいろあります。一般的には「小父」と書くときは、他人の大人の男性のことです。ここでいう「おじ(おば)」を手紙などの文字にするときには、両親の兄(姉)を「伯父(母)」と書き、両親の弟(妹)を「叔父(母)」と書きます。
他人に対して話すとき、「おじさん」「おばさん」などとうっかりいってしまいますが、「おじ」「おば」と、はっきり使い分けをすべきです。
「来月から、おじの会社を手伝うことになりました」
「うらやましいね、立派なおじさんがたくさんいらっしゃって」
「おばが急に入院してね、これからお見舞いに行くんで、今日はこれで失礼するよ」
「おばさんとうのは、本郷にいらっしゃる、君のお母さんの妹さんのことか」
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人を呼ぶ場合、いろいろな立場が考えられますが、この項では話し手(自分)、聴き手(相手)、話中の人物(第三者)の3つの面から、人の呼び方を述べることにします。
1.自分自身の呼び方《自称》 |
文法的にいえば、第一人称ということになります。これにもいろいろな言い方があります。
1.わたくし、あたくし |
「わたくし」は「わたし」とともに、自分自身を呼ぶときの、もっとも標準的な言葉です。「わたし」は、「わたくし」より親しい人や下位の人に対して使います。
「わたくしの場合は、ちょっと事情が違います」
「あたくしには先生のお話が、よく分かりました」
「わたくしどもへお電話いただければ、すぐお届けいたします」
2.わたし、あたし |
「わたくし」「あたくし」より少し砕けた言い方です。「あたし」は、女性だけの用語とされています。
「わたしは、スポーツが大好きです」
「あたし、今度のハイキング、どうしようかと思っているのよ」
3.ぼく |
学生同士の間や、親しい仲間との会話には使えますが、上位者やあまり親しくない人には避けた方がよいと思います。「ぼく」は親しみのある、砕けた自称として用いる言葉です。文部大臣に対する国語審議会の建議による「これからの敬語」では学生用語とされています。
「僕の学校には有名な教授がたくさんいらっしゃるんですよ」
「僕は卒業したら、放送関係の職場に入りたいと思っています」
「僕たち学生には、僕たちなりの夢があってこの運動をやっているんです」
「僕の母は早く亡くなりましたが父は再婚をしなかった。そのため、苦労して僕たち3人の兄弟を育ててくれました」
4.自分 |
かつて軍隊では自分自身のことを「わたくし」「わたし」などと言うと、「なにッ、お嬢さんじゃあるまいし、男らしく言え」と頭を殴られたものです。その軍隊用語が、体育会系には今でもそのまま生き残っています。
「自分はかつて海軍の軍人でありました」
「自分の郷里は鹿児島県であります」
「自分は志願をしてこの軍人になりました」
5.こちら、こっち |
電話では、「こちらは経営総合研究所の高山と申します」などといいます。もともとこの言葉は、自分に近い方向を指し示す代名詞だったのが、自分自身をさす言葉になってしまったものです。
また、第三者を紹介するときにも「さん」をつけて、「こちらさんは、山田さんとおっしゃいます」などと言います。
「こっち」は少しぞんざいになるので、同僚か親しい人に対してしか使えません。
「あす、こちらからうかがいます」
「こっちの知らないうちに決めたんじゃ、協力できませんよ。こっちにも言い分があるんですから・・・」
「こっちとしてはやるだけのことをやったつもりですが、相手のあることですからね」
「こちらは山本と申します。ご主人様はいらっしゃいますか」
6.その他 |
男の同輩、または下位の者に対して使う言葉に「おれ」があります。「おまえ」と対称した言葉です。これは、ごく親しい人でないと、威張っていると受け取られたり、崩れた言葉遣いになりますので注意しなければなりません。若い芸能人のインタビューなどでよく「おれは」と言いますが聴きづらいです。
「わし」は老人の言葉です。「吾輩」「予」「あっし」「おいら」「こちとら」など、第一人称の言葉は非常に多いのですが、今一般の社会では、特殊な場合を除いては、これらはほとんど使われていません。昔は「朕」という天皇の自称もありました。
「おれなんか学がないからね」
「この前の震災で、おれのうちは吹っ飛んじゃったよ」
「予はこれで満足じゃ」
「あっしは職人だからね」
「こちとら(おいら)は流れ者でしてね」
2.相手の呼び方《対称》 |
話を聴いている人です。文法的に言えば、第二人称ということになります。
1.あなたさま、あなた、あんた |
「あなた」、多少あらたまって「あなたさま」。この2つが一般的です。もっとも、「あなた様」は差が大きい場合使うこともありますが、最近ではおもに上位者に対する女性の言葉といわれています。
「あなた様のお名前を、おっしゃっていただけませんでしょうか」
「あなたのおところを、こちらにお書きください」
「表情がもっと明るくなったら、あなたの魅力は一段と高まるでしょう」
2.そちらさま、そちら、そっち |
「こちら」と同じく方向を指し示す言葉だったのですが、人をさすときにも使われるようになったものです。これも「そちらさんは、どなた?」などと、第三者を尋ねるときなどにも使います。
「そちらさまのお住まいは、どちらでいらっしゃいますか」
「そっちは、そうかもしれませんがね、こっちにも、こっちの考え方がありますからね」
3.その他 |
「おたく」「おたくさま」「おたくさん」などは、あなたの宅、あなたの職場、あなたの家庭などの代わりに使われるようになってきました。しかし、相手自身をさす「おたく」はくずれますので、あまり使わない方がよいでしょう。
「お宅さんとは、どこかでお会いしましたね」
「おたくは、どこ」
「こちらさまは、どのようなご用件でしょうか」
第一人称としての「こっち」についてはすでに述べましたが、この「こちら」に「さま」をつけた言い方は商店などでよく使われています。
「おまえさん」「おまえ」「おめえ」は「御前」という言葉からきたようですが、最近では少しぞんざいな言葉とみられています。ごく親しい間柄か、下位の者にしか使えません。「てめえ」もまた、感じの良い言葉とは言えませんので、避けた方がよいでしょう。「手前ども」もあります。下町の商店などで使われています。
3.話し中の人の呼び方《対称》 |
話しの中に出てくる人の呼び方です。文法的にいえば第三人称ということになります。
これは法則的に近い人、遠い人、その中間、不定の人などと、はっきりした言葉があります。
その中でも、「あの方」と「あの人」などと差をつけることもあります。また、「あのお方」「あのお人」などといって、その人との人間関係によって、いろいろ使い分けしている点に注目すべきでしょう。
「あの方は最近お見えになりませんが、どうしていらっしゃるのでしょうか」
「この方は、○○会社の人事課長(さん)です」
「こちらさんは、いつもこんな皮肉をおっしゃるんですよ」
「あちらさんのように、お人柄のいい人は本当にお得ですね」
「そちらさんは、初めてでいらっしゃいますか」
「どちらさんでしょうか」
第三人称の呼び方を、その立場によって列挙しておきます。
近い人 |
遠い人 |
その中間 |
不定の人 |
こちらさま こちらさん |
あちらさま あちらさん |
そちらさま そちらさん |
どちらさま どちらさん |
この方 この人 |
あの方 あの人 |
その方 その人 |
どの方 どの人 |
こちら |
あちら |
そちら |
どちら |
これ |
あれ |
それ |
どれ |
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職名や職制の肩書きはすでに敬意が含まれているのだから、敬称としての「さん」「さま」などつける必要はない、という考え方があります。しかし、職名、役割がすべて敬称になるとは考えられないものもあります。
これは絶対的にそうなるとは限りません。使われている状況によって、あるいは、役割、立場によってその意味が違うことがあります。
私は医療関係者を対象にした講演がよくあります。担当者から「こちらが婦長の松森明子です」と紹介されます。時には「こちらが松森看護婦長です」と言われることもあります。このような場合は「看護婦長」には敬意が感じられます。
ところが、「こちらが谷山看護婦です」とはほとんど言いません。「看護婦」には、先の「看護婦長」のような敬意は含まれていません。第三者が紹介するような場合は、「こちらが看護婦の谷山さんです」とか「こちらが、事務員の小原悦子さんです」と言います。
1.敬称になるとみられている職名 |
一般的には次のようなものが敬称と考えられています。
事務次官、政務次官、事務官、調査官、著基調、局長、部長、課長、主査、教官、先生、講師、助教授、教授、弁護士、判事、検事、裁判官、検察官、陸将、一等海佐、幕僚長、警視、長官、総監、看護部長、院長、理事長、会長、市長など
2.敬意が薄くなるとみられている職名 |
反対に敬意が薄く、話すときには注意を要する職名は、次のようなものです。前後の文脈、場の状況にもよりますが、うっかりすると差別語にとられるかもしれません。
百姓、大工、職工、女工、工員、職人、労務者、店員、販売員、掃除婦、セールスマン、看護婦、配達員、事務員など
1.先生 |
職場での「先生」については先に述べた通りです。一般的に親しみを込めて言うこともあれば、軽蔑して「先ず生きている先生」などということもあります。
弁護士などのように、最近は「士」のついた人を呼ぶ場合、「先生」と呼ぶことが多いようです。この他、講習会の講師、医師、役所の人、評論家、工芸家、演出家、公の委員、政治家、作家、画家、踊りの名取り、ダンスの教師、デザイナー、美容師、お茶、お花の師匠、建築士など、最近は先生の数もずいぶん増えてきました。
2.奥さま(さん) |
「人の妻」の敬称でもありますが、既婚の女性と思われる人に使う言葉でもあります。年輩の女性に対していう言葉です。
「奥さん、いかがですか」
「奥様がお使いになるのですか」
3.お嬢さま(さん) |
「人の娘」を表す言葉ですが、若い未婚の女性一般に使われることもあります。
「お嬢さんは、どちらまでですか」
「お嬢様、そのお着物はお似合いですね」
4.おねえさん、ねえさん、おにいさん、にいさん |
ウェイトレス、店員などを呼ぶときによく使われています。
「おねえさん、メニューを見せた」
「お兄さん、ちょっとそこを通してよ」
5.親爺、親爺さん |
飲み屋や商店の店主などに、親しみを込めて言うことがあります。若い人がいきなりこのような言葉遣いではなじみません。
「親爺、つけにしておいてくれないか」
「親爺さん、今日は偉く威勢がいいな」
6.大将、御大 |
「先生」と同じように、両極端に使うようです。親しみを込めて言う場合もあれば、あなどったり、からかったり言うこともあります。「御大」は「御大将」を略したものです。建設関係の世界では、今でも自分の職場の主人を呼ぶのに、「御大」と言う人がいます。
7.旦那 |
男の客や、見知らぬ男性に対して使う言葉です。
「旦那さんはどちらにお住まいですか」
「旦那、景気が良さそうですね」
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