てんしのひとみ | Best Production | ||
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1. | 尊敬語に関する言葉遣い | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2. | 謙譲語に関する言葉遣い | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3. | 過剰敬語に関する言葉遣い | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4. | より適切にするための言葉遣い | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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5. | 場に応じた適切な言葉遣い | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1.尊敬語にしたい言葉遣い |
私たちは、自分と相手との人間関係や、話しの中に出てくる人との人間関係によって、その人にかかる言葉を使い分けています。このことは、繰り返し述べた通りです。
特に、相手の動作や状態を表す言葉は、相手をじかに敬う言葉、即ち尊敬語にしないと、相手に違和感を持たせ、対話に使用をいたすことがあります。次の言葉遣いをどう考えますか?
???
1. そちらのエレベーターで行ってください。(客に) 2. 今朝東京から飛行機でこちらへ来たのですか(客に) 3. そちらの椅子におかけになって待っていてください。 4. 当店は、お気軽に利用してもらうように努めております。 |
1.の場合 |
「行く」が客の動作を意味しますので、これを尊敬語にして、「そちらのエレベーターでいらっしゃってください」または「そちらのエレベーターをお使い(ご利用)くださいませんか」などになります。
2.の場合 |
これも「来た」を尊敬語にしなければなりません。「今朝東京から飛行機でこちらへいらっしゃったのですか」(いらっしゃいました?)」となります。
3.の場合 |
前の2つの言葉遣いよりも、やや複雑になります。「翔」と「松」という、動作を表す動詞が2つ続いているからです。
「かける」は「おかけになる」と尊敬語になっています。この場合「待つ」も尊敬語に統一するのが一般的です。しかし、動詞が多く続く場合は、過剰になりますので、「椅子にかけてお待ちください」と言うこともあります。もともと敬語表現が後になる方が落ち着くという考え方があります。最近では後の方を裸にする話し方も使われるようになりました。「椅子におかけになって待ってください」などということもあります。これらは意見の分かれるところです。
4.の場合 |
「利用する」と「もらう」の2つの動詞が重なります。「もらう」は、自分にかかる「頂く」という謙譲語になりますので、「当店は、お気軽にご利用いただくように努めております」という言い方もあります。
2.間違いに気づいていない言葉遣い |
普段仲間と話している言葉とは違う言葉に取り替えると、何でも適切な敬語になっていると誤解している人もいます。
特に、間違いやすいのは、相手の動作に謙譲語を使っていながら、それが尊敬語だと思い込んでいるケースです。間違いに気づいていないで使っている言葉に、次のようなものがあります。
???
1. 10分以上お待ちの方は、受付にお申し出ください。 2. この次にいらっしゃるときは、健康保険証をご持参ください。 3. 私は4月10日、明治神宮で華燭の典を挙げました。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。 |
1.の場合 |
「申す」は謙譲語ですから、「お」をつけても尊敬語になりません。最近では慣習として「お申し出ください」とよく使われていますが、反対の考え方がある場合には、わざわざその言葉を使う必要はないでしょう。「おっしゃってください」とそのものズバリでも言えますが、別な言葉に差し替えることもできます。「10分以上お待ちの方は、受付までお越しください」「受付にお知らせください」という言い方があります。
2.の場合 |
「ご持参」が問題になります。慣用語として使うこともありますが、「持参」は「持っていく(来る)」という謙譲語ですから、「ご」をつけても尊敬語にはならないと考えた方がよいでしょう。最近では、役所の文書によく使われていますが、私は避けたほうがよいという立場をとっています。「お持ちくださいませんか」「お持ちになってください」と尊敬語にすべきです。
3.の場合 |
若い2人が「喜んで、いろいろな人に挨拶状を出したのでしょう」と、このような挨拶状をもらった人が話してくれました。挨拶状は出さないよりも出した方がよいでしょうが、それによって2人の社会的なレベルがはかられることも事実ですから、文章、文字、宛名の書き方、言葉遣いなど慎重を要します。「華燭の典」というのは、「儀式の席上の華やかなともしびの意味」(野本菊雄先生)で、「他人の結婚式の美称」と言うことです。他人のことならよいのですが、自分の結婚式の場合には不適当ということになります。
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3.「れる」「られる」では敬意が弱い言葉 |
敬語にはレベルの差があります。相互の差が大きすぎてその差を埋めるにはもっと敬意の強い敬語にした方がよいということがあります。敬意の高い言葉を使えば、相手との差が埋まり、対話がスムーズにいくということになります。
「敬語を使っているのだから、何も文句を言われる筋合いはない」などという人もいますが、敬語さえ使えばそれでよい、ということにならない場合もあります。その差に応じた敬意の表現があるのです。
???
1. 部長、明日は九州へ行かれますか。(新人が部長に) 2. 内田さんは、昨日どこへうかがわれましたか。(客に) 3. さっき社長が申されましたように。(社内の人に) 4. お客様は、今朝の一番の新幹線でこちらへ来られたのですか。(大事な客に) |
1.の場合 |
平の社員が部長に対して話すときには、敬体をもっと強める必要があります。「部長、明日九州へいらっしゃいますか」とするか「明日九州へおいでになりますか」にすべきでしょう。
2.の場合 |
「どこへ」は「どちらへ」にします。「うかがわれた」は、2つの点で問題のある言葉遣いです。「うかがう」は「行く」の謙譲語です。また、謙譲語の「うかがう」に尊敬の意味を持つ助動詞の「れる」をつけても尊敬語にはなりません。ここでは、「行く」の尊敬語の「行かれた」か「いらっしゃった」にしなければなりません。しかも、客ですから、「行かれた」よりも「いらっしゃった」の方が強い敬意を示すことになります。「内田さん、昨日はどちらへいらっしゃいましたか」とすべきです。
3.の場合 |
これもAの場合と同じで「言う」の謙譲語「申す」に「れる」の助動詞をつけた誤用です。「言われました」もありますが、社長ですから、敬意の強い「先ほど社長がおっしゃいましたように」にすべきところです。
4.の場合 |
わざわざ「大事な客」と断っていますので、最敬体の言葉で話すべきです。「お客様は、今朝一番の新幹線でこちらへいらっしゃいましたか」(いらっしゃったのですか)」の言い方にするのが一般的です。
4.「お(ご)・・・になる」に関する言葉遣い |
尊敬語化する「お・・・になる」のつもりで、謙譲語の「お・・・する」になっている例を、私たちはよく聴いたり、見かけたりします。
電車のアナウンスにはこの種の間違いが多いように思います。「次は○○(駅名)でございます。お降りの方はお忘れ物のないようお支度してお待ちください」と放送します。お客様が支度をするのですから、「お支度する」という謙譲語では甚だ失礼だと受け取る人もいるでしょう。
これをまったく別の言葉遣いにするか、このままですと、「お忘れ物のないようにお支度の上お待ちください」か「お忘れのないようにお支度ください」にします。あるいは「お忘れ物のないよう、お支度なさってお待ちください」にするなど、いろいろな表現法があります。
???
1. 受付順には意見しますので、次の方はご用意してお待ちください。 2. お好きな品物を自由にお選びして結構でございます。 3. お客様で、ただいまのご説明のほかにお聞きしたいことはございませんか |
これらはどういったらよいか、考えてください。
1.の場合 |
「ご用意して」は謙譲語の「お・・・する」の形式ですから、この部分だけかえるのでしたら、「ご用意の上」とか「ご用意になって」となります。それでは全体の語呂が悪いというのでしたら、指示的にはなりますが、「受付順には意見させていただきますので、次の方はご用意ください」あたりが無難でしょう。
2.の場合 |
「お選びして」が@と同じ意味で問題になります。また、謙譲語化して「お好きな品物をご自由に選んでいただいて結構でございます」という言い方もあります。客を中心に尊敬語にして「ご自由にお選び(選んで)くださって・・・」になります。
3.の場合 |
お客様に問いかけているのですから、「聴く」の主体はお客様です。「お聞きになりたいこと」とした方がよいでしょう。「ございます」も謙譲語的な丁寧語ですから「お客様、ただいまのご説明のほかにお聞きになりたいことがおありでしょうか」といった表現がベターと考えられます。
このような問いかけは、商品説明会の講師や司会者が参加者に問いかけるときなど、話しの後で補足を必要とするときによく使われる言葉です。このような間違った言葉遣いをしながら、平気な人があまりにも多いようです。
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5.尊敬語専門に関する言葉遣い |
敬語には敬意を表す意味の強弱があります。対話者間における差が大きい場合には、それに見合った強い敬体の言葉を選ぶ必要があります。例えば、「思う」を「おぼし召す」、「着る」を「召す」、「訪問する」を「いらっしゃる」、「死ぬ」を「お隠れになる」、「気に入る」を「お気に召す」、「年をとる」を「お年を召す」、「だ(である)」を「でいらっしゃる」などです。
???
1. 社長が先ほど話されましたように、・・・(社内の会議で) 2. この企画、気に入られましたでしょうか。(顧客に) 3. 失礼ですが、お名前はなんと申されますか・(大事な客に) 4. 部長、××の件で最近、マスコミが取材のため盛んに動いているということを聴いていますか。 |
1.の場合 |
社長が「話した」ということですから、「話す」に「られる」をつけて尊敬語にするのは間違いではありません。ただ、自社のトップの社長に対して「言われた」では敬意が弱くなります。尊敬語の最敬体である「おっしゃいました」にすべきです。
2.の場合 |
お客様から依頼されてことに対する企画案を示して、気にいたかどうかを尋ねているわけですから、「・・・られる」の形式でも間違いではありません。しかし、大事な顧客と言うことでしたら、もっと敬意の強い「お気に召しましたでしょうか」とすべきです。こういう表現を使いこなせるようになりましたら、あなたも一人前の教養人と見られるでしょう。
3.の場合 |
受付に見えた人が、名前を言わないとき、「どなたさまでしょうか」と尋ねることがあります。名前を覚えることは人間関係を深める上で大事な条件の一つですから、知らないまま適当に対応するわけにはまいりません。ここではストレートに名前を尋ねるのですから、「言う」の尊敬語専門の言葉「おっしゃる」か、名詞のような文字の場合、謙譲語の「お読みする」にしなければなりません。
4.の場合 |
「聴いている」を尊敬語にして、「斉藤部長、××の件で最近ますも実が盛んに動いているということですが、お耳に入っていますか」と「お耳に入る」を使うか、「お聴きになって」に変え、「お聴きになっていますか」、または、「お聴きでいらっしゃいますか」にしたら安定した表現になるでしょう。
6.不調和をきたす言葉遣い |
動作や状態を表す言葉(動詞)が重なるとか、次々と出てくる場合、同じレベルの敬語にすると、かえって不安定な言葉遣いになることがあります。
このような場合、前後両方とも敬語表現にすると、過剰になって煩わしい感じになるものです。
前の方を普通の言葉にして、後に来る言葉を尊敬語にする方が安定するというものがあります。次の@、Aの場合がこれに該当します。
???
1. 現金書留になさってお送りになったら、安全だと思います。 2. あらかじめ、予約をなさってからいらっしゃったらどうですか。 3. 部下の武田と申しますものがおじゃまいたしますので、宜しくお願い申し上げます。 |
1.の場合 |
「現金書留にしてお送りになったら、安全だと思います」として方がなじみやすい、といわれています。敬体のレベルを合わせないと、不自然になることもあれば、このような用法が言い場合もあるので、言葉遣いは一筋縄ではいかないということになるのでしょう。
2.の場合 |
これも「あらかじめ、ご予約をしてからいらっしゃったらどうですか」とするほうが聴きやすい形になるといわれています。前述のように「お風邪を引いた森山さん」は、「風邪をお引きになった森山さん」というように、前の言葉を普通の言葉にして、相手の状態をあらわす「ひく」を敬語化する方が表現としては安定します。このように重複する敬語を省略する場合は、前の方を省くのが一般的だと考えたらよいと思います。
しかし、すべて前の方を省くというわけにはいきません。「この方式の割賦は、毎月、5万円ずつ支払っておかれますと、3ヶ月以降はいつでも現品を先渡しいたします」というようなときには、「5万円ずつお支払いになっておきますと」とした方が調和します。
3.の場合 |
名詞を修飾する「ます」は省いた方がすっきりします。「部下のたけだと申すものがおじゃまいたしますので」とした方が落ち着いた表現になります。
「お塩をちょっとお入れになり、お砂糖をおさじ1杯ぐらいお入れになって・・・」こういった言葉遣いは煩わしくキザになります。整理して「お」を間引きしないと、敬語のバランスが崩れてしまいます。「お塩をちょっとと、お砂糖をおさじに1杯くらい入れて・・・」と、整理したらどうでしょうか。
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1.謙譲語にしたい言葉遣い |
謙譲語は自分や身内の者の動作や状態をへりくだった表現にすることによって、間接的に相手を敬う言葉です。自分の動作を、普通の言葉で言うと、うまく調和しない場合があるからです。そのようなとき慣習語としての謙譲語を使うようにしなければなりません。
???
1. 私はお客様が送ったと言われる書類を見たことがありません。 2. 新企画の件でお客様に詳しくご説明をしてきます。(上司に) 3. ××講習会に出してもらいましたので、そのことについて報告します。 4. 私どもでご面会のご予約をもらっていましたか。 |
1.の場合 |
この話を単純にすると、「私は見たことがありません」ということですから「見た」を謙譲語化して「拝見した」にします。「ありません」を敬意の強い丁寧語にして「ございません」にします。「私は、お客様が『送った』とおっしゃる書類を拝見したことがございません」「拝見していないのでございますが」などになります。「送った」を関節表現にして「送られた」にすることもあります。
2.の場合 |
上司に断って、自分の席を離れるということです。「行ってきます」を謙譲語の「まいる」にします。「新企画の件で、お客様に詳しくご説明してまいります」と謙譲表現にします。
3.の場合 |
「報告します」は「する」を丁寧語の「ます」で補っていますので、あまり抵抗を感じません。しかし、若い人が職制上差のある人や、年齢の差の大きすぎる人に対して話すとき、丁寧語だけでなく、謙譲表現にした方がよい場合があります。「××講習会に出させていただきましたので、そのことについてご報告いたします」になります。
4.の場合 |
「もらう」「いました」を謙譲語にしてそれぞれ「いただく」「おりました」にし、全体を調和させた言葉遣いに改める必要があります。「私どもでご面会のご予約をいただいておりましたでしょうか」にします。
2.間違いやすい言葉遣い |
外部の人に対して身内の者のことを話すときには、謙譲語にします。
また、身内の者同士で話すときに、他の身内の者に関わることを、外部の人に対していうように、極端な謙譲語にして話す間違いもあります。
対人関係の親疎に応じた適切な言葉遣いにしないと、社会性や教養を疑われるということにもなりかねません。
???
1. 部長(内部の)がさっき言われましたように、お考えくださいませんか。(同席の客に) 2. どうぞご自由にとってもらっていいですよ。(客に) 3. 私はY株式会社の支店長をやらさせていただいております。(客に) 4. 部長は今お出かけになっていらっしゃいます。(社長に) |
1.の場合 |
お客様に対して内部の部長の言ったことですから、「言う」は謙譲語にしなければなりません。「私どもの部長が先ほど申しましたように、お考えくださいませんか(お考えいただきたいのですが)」になります。
2.の場合 |
これは「どうぞご自由にお取り(お持ち)頂いて結構でございます」となります。
「お(ご)・・・いただく(ねがう)」も謙譲語の一つの形式ですが、「お(ご)を使わないで、言葉をへりくだる形式にすることもあります。
3.の場合 |
「・・・ていただく」は、こちらに利益がかかるようなときに使うのが一般的です。「書いていただく」、「渡していただく」、「教えていただく」のような用法です。この場合、相手が支店長に任命したわけではないのですから、「やらせていただく」というのはおかしいということは先に述べた通りです。
宗教的な意味を込めて、すべて神や仏の思し召しによってそうなるというのであれば、このような言葉遣いになるのかもしれません。しかし、人間社会の対話としては、慣習的に使っている言葉を素直に使わないと違和感を持つ人もいるのですから、あまり突飛な言葉や、過剰な「いただき言葉」は避けるべきです。癖になって無意識に話す人もいます。
4.の場合 |
部長より社長が上位なのですから、社長に対していうのであれば「部長はただいま出かけています」でいいはずです」
3.「・・・ていただく」に関する言葉遣い |
先に述べたように、相手または話しの中の人の動作に「お・・・ていただく」「お・・・ねがう」の形で言うことによって、話し手のへりくだった気持ちを表す言い方があります。
「お(ご)」を使わないで、「・・・ていただく」の形式になる場合もあります。
次のような場合、皆さんはどんな言葉遣いになるのでしょうか。
???
1. この書類を大橋君に渡してくれませんか(先輩に) 2. このパンフレットに私どもの営業内容を詳しく書いてありますので、読んでもらえませんか。 3. 明日12時までにお電話をもらいたいんですが(客に) 4. そんなことで褒めてもらって恐縮です。 5. いつもお心にかけてもらってすみません。 |
1.の場合 |
相手に用を頼むのですから、「渡してくれませんか」は同等以下の人に使う言葉で不十分です。「・・・していただく」か「お・・・いただく」の形式にかえる必要があります。「この書類を大橋君に渡していただけませんでしょうか」「お渡しいただけませんか」などになります。
2.の場合 |
お客様に話すのですから、1.と同じように「もらえませんか」をもっと丁寧な表現にすべきです。「このパンフレットに私どもの営業内容が詳しく書いてありますので、お読みいただきたいのですが(読んでいただけませんか)」となります。
3.の場合 |
「お・・・いただく」は「お(ご)・・・をいただく」の変わった形と言われています。12時までに、お電話をいただきたいのですが(お電話を頂戴したいのですが)の表現にした方が抵抗が無くなります。
4.の場合 |
「褒めてもらう」を「褒めていただく」に変え、「そのようなことで褒めていただき恐縮です(恐れ入ります)」となります。「恐縮に存じます」もあります。
5.の場合 |
4.と同じように「・・・ていただく」に変えるのと、「すみません」は謝罪の言葉ですから、「恐縮に存じます」のような表現にしたほうがよいでしょう。「いつもお心にかけていただきまして恐縮に存じます」とするか「恐縮に存じます」をもっと積極的に「いつもお心にかけていただきまして、ありがとうございます。
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4.「お・・・する」に関する言葉遣い |
自分の身内の者の動作に対して、尊敬語を使う無神経な人もいます。また、謙譲語の敬意が不十分なために反発を感じさせる人もいます。その場にあった適切な敬語にしないと対話が噛み合わなくなることがあります。
次のような言葉遣いになることはありませんか。
うっかりしてこのように言う人もいますが、これでよいと思い込んでいる人もいます。
???
1. お客様、私のほうで何かお聴きになっていますでしょうか。 2. 明日の午後5時までに連絡します(大事な客に) 3. お借りしていたこの車はどちらへ返しておいたらよいですか。 |
1.の場合 |
「何かお聴きになって」と言うことは、繰り返し述べた通りです。「お・・・になる」という尊敬を意味する付加形式の敬語です。ここでは謙譲語の「お・・・する」にしなければならないところです。「私どものほうで、何かお聴きして(承って、うかがって)いますでしょうか」また「ご予約をいただいて」となります。
2.の場合 |
「連絡します」は、丁寧語の「ます」を使った用法です。いくらか抵抗感が薄らぎますが、少しぶっきらぼうに聞こえます。「お・・・する」に改めたほうがよいでしょう。「ます」も、大事なお客様が対象ということでしたら、もっと敬意を強めて「いたす」か「申す」、「申し上げる」にしたほうがピッタリします。「明日の午後5時までにご連絡いたします(申し上げます)」としたほうが安定します。
この形式は、私たちの日常生活では頻繁に使われています。「お送りいたします」「ご返事いたします」「お知らせいたします」「ご返事申し上げます」「ご説明申し上げます」などです。
3.の場合 |
「返しておく」を「お・・・する」の謙譲語に改めるようにします。また、「車」は相手のものですから、「お車」にすると全体のバランスがとれます。所有を示す尊敬の意味になる接頭語の「お」です。「お借りしているお車は、どちらにお返ししておいたらよろしいでしょうか」になります。これに続けて、「車庫でいいでしょうか」それとも「事務所のほうでしょうか」ということになるのでしょう。
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5.謙譲語専門にする言葉遣い |
多くの人から尊敬語と謙譲語の使い分けが大変難しいですね、とよく言われます。
外部からの電話などを受けるときに、相手はこちらの者に対して当然尊敬語を使いますので、つい相手に合わせて、身内の者に対してまで尊敬語を使ってしまうというのです。
話し手、聞き手、話中の人などと、相互の関係によって、言葉遣いは変わってきますので、その使い分けを間違わないように気をつける必要があります。
???
1. 社長(山本)はまだ、見えていないんでございますが、どちらさまでしょうか。(外部からの問い合わせに) 2. 花畑(部長)はただいま出張なさっています。如何いたしましょうか。(外部の電話に) 3. わたしのほうでは、そちらさまがお渡しくださったというカタログをだれもご覧になった人はいないのですが、いつお渡してくださったのでしょうか。 |
1.の場合 |
これは外部からの電話の問い合わせに答えたものでしょう。「山本社長さんは、もうお見えでしょうか」との問い合わせに、このような答え方をする人がいます。「みえる」は「来る」の尊敬語です。「来る」の謙譲語は「まいる」ですから「山本はまだまいっておりませんが、どちらさまでいらっしゃいますか」と言い換えるようにします。逆にこちらから訪問する場合は、「うかがう」「上がる」「参上する」「おじゃまする」などがあります。
2.の場合 |
これも外部からの電話があったときの対応の仕方ですが、内部の部長に「なさる」という尊敬語を使っていますので、へりくだった謙譲表現にすべきです。「花畑はただいま出張いたしておりますが、如何いたしましょうか」などと、すぐ切り替えて表現できれば、あなたの敬語力は一応及第点ということになりましょう。
3.の場合 |
相手が渡したカタログを見た人がいないということです。だから、受け取っていないのではないかということになるわけです。
そうなりますと、言い方が非常に難しくなります。その上見ていないのは内部の人ですから、「ご覧になる」という尊敬語ではなく、当然「拝見する」などの謙譲表現にしなければなりません。「私どものほうでは、そちらさまがお渡しくださったというカタログを誰も拝見した者がいないので、いつのことでしょうか」といった表現になります。
6.敬意のレベルに合わせる言葉遣い |
一つのことに対して、それに対応する敬語に表現する言葉が、一つだけというわけでなく、尊敬語、謙譲語ともいくつもの言葉で表現できるものもあります。
その時の状況関係、対人関係、社会関係などによって使い分ける必要があります。語彙を豊富にしていれば、単に対人関係の差を埋める働きで調和した対話になるということにとどまりません。それによって豊かな表現力が生かされ、楽しい語らいを促すことにもなります。
???
1. A先生のお話をお聞きして、私もその通りだと思いました。 2. お土産をたくさんもらって、子供達が大喜びでした。 3. ちょっとしたものでもやると、受けた人はきっと喜んでくれますよ。 4. 今晩、そちらのほうへ行きますので、ちょっとお宅に訪問したいのですが、いらっしゃいますか。 |
1.の場合 |
「聴く」という言葉に対応する謙譲語は全部で4つあります。「拝聴する」「うけたまわる」「うかがう」という謙譲専門の言葉と、付加形式の「お聴きする」です。「拝聴する」のように、たいそうあらたまった表現にするか、一般的に「うけたまわる」にするか「うかがう」にするかは、その時の状況によって判断する以外にありません。「A先生のお話をうけたまわりまして(拝聴しまして、うかがいまして)、私もその通りだと思い(存じ)ました」などになります。
2.の場合 |
「もらう」をあらわす謙譲語も「いただく」「頂戴する」「拝受する」などがあります。「賜る」を入れる人もいます。「お土産をたくさんいただきまして」などとなります。
3.の場合 |
「やる」を意味する謙譲語もたくさんあります。「あげる」「差し上げる」「進呈する」「献上する」「進上する」などです。特別な場合を除き、日常生活では「あげる」「差し上げる」が多く使われています。
4.の場合 |
「訪問する」は「訪ねていく」ということですが、これに該当する謙譲語は「うかがう」「上がる」「おじゃまする」「参上する」があります。一般的には「今晩、そちらのほうへまいりますので、ちょっとおじゃまいたしたいのですが、いらっしゃいますか」ということになります。
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二重敬語に関する言葉遣いを考えてみましょう。いろいろな面で言えることですが、物事はほどほどにということです。言葉遣いでも、それなりにバランスがとれているということが大事です。過不足はいけません。
よく、慇懃無礼というのがあります。その言葉の本来の意味と語調が一致しない話し方になるからです。本来丁寧な言葉でありましても、それに見合う心が伴っていないと、語調と本来の意味の言葉とが乖離して、2つのチャンネルから同時に耳に入ってくることになってしまいます。
???
1. ただいま、社長がお帰りになられました。 2. お客様が先ほどおっしゃられましたことに私も賛成でございます。 3. 大里人事部長さまはいらっしゃいますか。 4. どうぞ、たくさんお召し上がりになってくださいませ。 |
1.の場合 |
「お帰りになる」という尊敬語と、「・・・られる」という尊敬語化するときの助動詞とを2つ重ねた用法になっています。このような場合、過剰にならないようにします。「ただいま、社長がお帰りになりました」で十分です。
2.の場合 |
このケースも「おっしゃる」という尊敬語に、「・・・られる」という尊敬語化する助動詞を重ねています。この場合、「おっしゃいましたことに、私も賛成でございます」にすべきです。
3.の場合 |
@、Aで述べてきた形式とまったく同じですから、「人事部長の大里さまはいらっしゃいますか(おいでになりますか)」にします。敬意を表す言葉を多く使えばよいというものでもありません。
4.の場合 |
「食べる」の尊敬語は「召し上がる」ですから、それにまた本来、尊敬の意味を持つ接頭語をつけたり、「お・・・になる」の形式と併用する必要はないわけです。しかし、最近、このような言葉遣いが少しずつ多くなっているようです。「どうぞたくさん召し上がってください」でよいでしょう。
極端な場合、よく知られている二重敬語(敬称)に、「先生さま」というのがあります。これと同じ意味の「各位どの」もあります。各位そのものが多数の人を対象に敬った言葉です。
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そもそも、話しというのは言葉を伝えるのではなく、言葉が指し示す事実なり、思いを伝えることを目的としてなされるものです。そのような視点から、言葉遣いについて述べてみます。
1.命令形を相談形にした言葉遣い |
敬語や言葉遣いというのは、絶対的なものではありません。言葉そのものだけでなく語調、態度、表情、さまざまなコミュニケーション手段の複合です。
また、多くの言葉が組み合わされた、前後の言葉、文脈によってその時の真の意味が決まるようになっています。
???
1. 社長はただいま会議中ですが、すぐに終わりますので、10分ほどお待ちください(大事な客に)。 2. 社長、時間になりましたのでお出かけください。(秘書から) 3. そんなもの買って無駄ですよ、おやめなさい。(上司に) |
1.の場合 |
訪ねてきた大事なお客様に対して言うのですから、丁寧な応対が必要です。「お待ちください」は一応敬語の形式になっていますので、案外見過ごしてしまうものです。「ください」がすべて悪いわけではありませんが、ここでの「ください」は強い命令形の敬語になっています。大事なお客様に対する言葉遣いとしては不適切です。相手の判断に任せる相談形にすべきです。「社長はただいま会議に出ておりますが、すぐに終わる予定でございます。申し訳ありませんが、10分ほどお待ちいただけませんでしょうか」にしたいところです。
2.の場合 |
「お出かけください」は、形式としては敬語です。しかし、「出かけろ」という典型的な命令形になっています。これでは、虫の居所が悪かったら、社長から「秘書に命令される筋合いはないぞ」などと怒られそうです。このような場合には、「お出かけの時間になりましたが、如何なさいますか」などと、時間になったことを気遣う話し方が、秘書の上司に対する配慮になります。
3.の場合 |
「おやめなさい」「およしなさい」も命令形です。下位の人に言うときにはこれでよい場合もあります。しかし、それとなく気づかせるようにぼかす言い方のほうが抵抗感はなくなるでしょう。「それをお求めになりましても、銅でしょうか」「おやめになったほうがよいと思いますが、如何でしょうか」などの表現法があります。
2.敬意のレベルを上げた言葉遣い |
相手との差を埋めるための適切な言葉を選び損なうと、対話はぎくしゃくしたものになります。同じ意味を持つ言葉でも敬意の差がありますので、相手に対する敬意を表現するには、それにふさわしい敬語を選ぶ必要があります。
豊かな表現力をつける条件として、語彙を豊富にすることは大事です。と同時に、誰とでも爽やかに話せる、上品で適切な話力をつけるためにも敬語を使いこなせるようにすることが期待されます。
???
1. ほかのものを見せましょうか。(大事な客に) 2. 仕入部の松村部長にお会いしたいのですが、(他社の営業課員から) 3. 今年もどうぞ宜しくお願いします。(大事な客に) |
このような言い方を、もっと敬意を強めた言葉遣いにするにはどうしたらよいか考えてみましょう。
1.の場合 |
「見せる」の謙譲語には、付加形式の「お見せする」もありますが、大事なお客様に対してということですから、これ以上の敬意を表す言葉を必要とします。「見せる」には「お見せする」よりも敬意の強い「お目にかける」「ご覧に入れる」などがあります。
提出したものに対して、どうも満足していないようなときには、「ほかのものをお目にかけましょうか(ご覧に入れましょうか)というような言葉遣いにしたほうがよいでしょう。
2.の場合 |
仕入部長の権限は絶大です。仕入部長の裁量によって取引が決定されます。また、採用されても、取引量は部長が決めますので、それなりの対応に気を配る必要があります。こちらから「会いたい」と言うとき、謙譲語にするのは当たり前のことです。「お会いしたい」は謙譲語ですが、もっと強い敬意を示さないと不愉快に思う人がいるかもしれません。「お目にかかりたいのですが」とすべきでしょう。
女性が文章などあらたまった言葉遣いになるときは、「お目もじする」と言うこともあります。
3.の場合 |
謙譲語の一般的な形式は「お(ご)・・・する」になりますが、「する」のところが「いたす」「申す」になる場合もあることは先に述べた通りです。しかし、「申す」に変えられない言葉もあります。ここでは、「本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます」にするほうが適切でしょう。
3.控えめにしたい言葉遣い |
はっきりした命令形での形式ではなくても、いかにも一方的な押しつけの感じを与える言葉遣いもあります。ここに取り上げた「・・・から」という言葉は、いかにもそのことが当然のような響きを持っています。そのため、内容によってはふさわしくない場合があります。
言葉は慣習に従いますので、その場合には世間一般では、どのような言葉を使っているかを知らないと、相手を戸惑わせることになります。
あるいは、そのような言葉を使う人の社会性が疑われることにもなります。
???
1. 私、今日急用ができましたから、早く帰ります。(上司に) 2. 私、頭痛がしますから、今日はお休みさせていただきます。 3. これでは不十分ですから、この欄の住所と氏名を書いてもらえませんか。 |
1.の場合 |
急用ができたのは、この言葉遣いからすると、どうも仕事上のことではなさそうです。このようなとき「から」というのは私用でも当然のことのように言っている響きを感じます。「ので」に改めたほうがソフトな感じを持たせることがあります。それにしても、理由を述べて「早く帰ります」もやや当然のこととして言っているように聞こえます。このような場合にはもっと恐縮して言うべきものです。「私、今日急用ができましたので、誠に申し訳ありませんが、早退させていただいてよろしいでしょうか」とすれば、いくらか丁寧になります。
2.の場合 |
これも@と同じように、「から」を「ので」に改めます。一方的な宣言の響きがありますので、「申し訳ありませんが」とか「すみませんが」などと恐縮した言葉遣いにしたほうが受け取る方も素直に受けられるでしょう。「私、頭痛がしますので、忙しい時期に誠に申し訳ありませんが、今日1日休ませていただいてよろしいでしょうか」などにすべきです。
3.の場合 |
「不十分ですから」はいかにも追求しているような響きがありますので取ります。また「住所」「氏名」を「おところ」「お名前」のように和語的な表現にしますとソフトになります。「恐れ入りますが、この欄におところとお名前をお書きいただけませんか」にします。
4.ソフトな表現にしたい言葉 |
頭ごなしに押しつけたり、「分かりますか」などと相手の能力を問うような言い方をする人もいます。そうなりますと、この問いかけが、ひいては相手の能力不足を暗に指摘しているように受け取られるということになりかねません。このような場合、自分の説明能力の足りなさや不十分さを示すような表現やニュアンスを込めていった方が抵抗無くてよいと言うことがあります。
???
1. 部長、私の説明で分かりますか。 2. この電車は、長い椅子が7人掛け、短い椅子が3人掛けになっています。1人でも多くの人がかけられますように、詰めてやってください。(電車のアナウンス) |
1.の場合 |
「分かる」というのは可能を意味しています。また、能力を表す言葉でもあります。このような場合、「分かりますか」は、言われたほうにすると、かなり抵抗のある言葉遣いになります。
「これでよろしいでしょうか」と、自分の側の説明能力の問題として問いかける言葉にするか、もっとへりくだった表現にして、「部長、これでご理解いただけましたでしょうか」などの表現にしたほうが問題を起こさないですむだろうといわれています。
人間は誇り高い動物ですから、ちょっとした言葉に引っかかることがあるものです。
2.の場合 |
あのアナウンスは何となくおかしいと感じている人が多いようですが、では、どこがどうおかしいのか、それはどういったらよいかとなると、この表現が大変難しいようです。掛けさせてもらう人からすると、「詰めてやる」は恩恵としてやっているのですから、先に掛けている人々を上位と見ての発言になります。「やる」といった、誤解されるような響きのある言葉を避けて、「詰めてください」「お詰めください」くらいでいいはずです。「詰めてあげてください」となると、逆に、後から詰めてもらった人を上に見ることになりますので、先に掛けていたひとが下になってしまいます。お客様にしては上下関係はないはずですから、この点を配慮した中立的な言葉遣いに努めたいところです。
「この電車は、長い椅子が7人掛け、短い椅子が3人掛けになっています。1人でも多くの方が掛けられますように、皆様のご協力をお願いいたします」にしたらどうでしょうか。難しい場合は、表現の組み替えが必要です。
5.避けたい粗雑な言葉遣い |
最近では少なくなったようですが、ある病院へ電話しましたら、身内の人には尊敬語を使っていながら、客のほうにはぶっきらぼうな言葉を使って応対していた、という極端な例の報告がありました。
客が「○○先生はいらっしゃいますか」と尋ねましたら、相手から「院長先生でいらっしゃいますか、ただいまご出張中でございますが、あんた、どなたですか?」と突っぱねるような言葉が返ってきたので、驚いたというわけです。これでは患者はこの病院により着かなくなるでしょう。
身内の者にはへりくだった言い方をし、お客様には尊敬語にするのが一般的な言葉遣いの原則です。本人に話すだけでなく、第三者に対する言葉遣いでも雑にならないように気をつける必要があります。
このような無神経な言葉遣いになれてしまうと、いざというときに切替がきかなくなります。
???
|
1. 社長、もうお客様を帰していいですか。 2. 本日は、私ども建設業界の安全大会のために、お忙しいところ、国土交通省から、わざわざA局長においでねがっております。 |
|
1.の場合 |
||
ここでは、いかにも対等以下のものとして言っているような感じです。極端に言えば、招かざる客や動物みたいに追い返す感じがします。これではこの職場の接遇態度が問題になりそうです。客を遇する接遇者は、言葉遣いに気をつけて、もっとお客様を大事にしなければなりません。客を主体にして話すのであれば、より丁寧に「社長、もうお客様にお帰りいただいてよろしいでしょうか」となりましょう。こうなれば、先のような粗雑さが無くなります。
2.の場合 |
これはストレートに乱暴な扱いと言うよりも、多少気配りの足りない粗雑な言葉遣いといえましょう。「おいでねがう」は「是非、私どもの大会においでねがいます」のように自分が相手に直接頼むときならよいでしょうが、主催者が会員などに発表するときは「来てもらっている」の意味ですから、尊敬表現にするのは難しいことです。謙譲表現として「本日は、私ども建設業界の安全大会のため、お忙しいところ、わざわざA局長においでいただいて(ご出席を賜って)おります」としたほうが抵抗なく受け止められるでしょう。
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6.避けたい粗雑な言葉遣い |
形式は同じでも、言葉遣いによってはその状況に合わないという場合もあります。話しは言葉だけ、形式だけ整っていればそれでこと足れり、というものでもありません。
先に取り上げた「ください」の命令形もそうですが、その話しによって、相手を不愉快にしたり、違和感を持たせるようだったら考えなければなりません。
言葉は常に、心と連動しているのです。そんな意味で相手に対する配慮や、そのことに対する積極性が、言葉の調子や語勢などによって必ず外へ出てくるものです。
???
1. 勝田部長、西日本商事の資材課長の橋口さんをお連れしました。 2. どうにかしてくれよ、ホントにうるさいね、よくほえるガキだ。 |
平気でこんな言葉遣いをする人がいます。これでいいのでしょうか。
1.の場合 |
「お連れしました」は「お・・・する」の謙譲表現ですから、形式としては間違いでありません。しかし、言葉のニュアンスからすると、まるで警察官が犯人を逮捕して連行していくような響きがあります。あるいはペットの犬か猫で縺れてきたような感じにもなります。誤解されやすい表現は避けるようにしたいものです。もっと爽やかで感じの良い言葉に置き換えらどうですか。これが話し手の他者に対する配慮というものです。「勝田部長、西日本商事の資材課長の橋口さまをご案内いたしました」という表現もあります。このような場合、「ご案内する」がベターと言えるでしょう。
2.の場合 |
1.とは質的に違います。動詞そのものに人を卑しめる意味が含まれている「ほえる」(泣く)が使われています。「ガキ」も子供をさす卑語ですから、このような言葉遣いは、望ましい敬語や言葉遣い以前の、難しく言えば、その人の人間観ということになるのでしょう。言葉通りに変えるのであれば、「よく泣く子供ですね」となりますが、これも自分の子供に言うのであれば許される場合はあっても、このような言葉を発すること自体、人間性が問われると言うこともあります。
どうしても何か言わなければならないのであったら、「どうしたの」とあやす言葉でも掛けた方が、あなたの温かい心を表すことになりましょう。
7.接遇用語しての言葉遣い |
言葉は、それが使われている領域の中で通用する記号です。つまり、約束事です。
長い慣習の中で、その意味が比較的に強く固まったものですから、それに会わないと違和感をもたれることになります。お客様を遇するときには、それにふさわしい接遇用語、ビジネス用語が慣習的に使われています。
一般的な言葉遣いとしては正しくても、その場に合わないこともあります。「できません」という言葉は、「です、ます」調の丁寧語を使っていますので、一応敬語表現ではあります。しかし、否定の言葉ですから、突っぱねるような語感があります。このような場合「いたしかねます」という接遇用語を適切に、また、スムーズに使いこなすようにしておく必要があります。
次の言葉はどういったらいいでしょうか。
???
1. なんのようですか。(受付で来客に) 2. ただいまAは席におりません。 3. もう一度来てもらえませんか。 4. 何とかしてください。 |
1.の場合 |
「なんのようですか」はいかにも追求している感じで、接遇後としては失格です。このようなときには「どのようなご用件でいらっしゃいますか」あるいは「どのようなご用件でいらっしゃいますか」あるいは「どのような御用向きでしょうか」という接遇用語があります。
2.の場合 |
「ただいま、席におりません」は、普通の言葉遣いとしては正しくても、接遇者としては、あまりにもぶっきらぼうで突っぱねるような言い方ですから使えません。接遇用語の「ただいま席を外しておりますが、如何いたしましょうか」のほうが丁寧さを感じます。
3.の場合 |
「もう一度来てもらえませんか」にも、接遇用語として、これにふさわしい言葉があります。「もう一度ご足労ねがえませんでしょうか」というのが一般的です。あるいは「いらっしゃっていただけませんでしょうか」でもよいでしょう。
4.の場合 |
「何とかしてください」は、言葉遣いとしては普通の意味であまり問題になりそうもありませんが、いかにも事務的に聞こえます。これには「ご配慮ねがえませんでしょうか」という心からお願いしている感じの接遇用語があります。
8.同じ意味でもより丁寧な言葉遣い |
意味は同じでも、その立場や状況にふさわしくない言葉というものがあります。あるいは、もっと丁寧に言うべきだということもあります。
そのような場合、その言葉自体を取り替えることができればその方がよいのですが、どうしてもそれに合う言葉がないときには、語調として敬語的ムードがあれば救われることもあります。
ここでは、接遇用語に取り替えたほうがよいという接遇者の言葉遣いをあげておきます。
???
1. 客:「○○ということだね」 接遇者:「そうです」 2. 客:「××してもらえませんか」 接遇者:「できません」 3. 客:「君も客の立場だったら安い方がよいと思うだろうね」 接遇者:「そうですね」 4. 客:「おつりが100円足りないよ」 接遇者:「どうもすみません」 |
1.の場合 |
お客様からの念押しに答えるのですから、ここでは「さようでございます」という接遇用語で答えた方がよいでしょう。「そうです」は丁寧語ですが、客を遇するにはもっと敬意を表した言い方にすべきです。
2.の場合 |
受け容れることができないということで相手の意に反した言葉を言うのですから、とても難しい場面です。下手するとしこりを残してしまいます。このような些細なことでも失敗しますと、大事な客との人間関係は切れてしまいます。あるいは、その後の取引までなくなってしまうことになるかもしれません。
いきなり「できません」では、あまりにもひどい拒否の言葉になってしまいます。もっと丁寧に「申し訳ありません、私どもではいたしかねますが」「本当に相済みません」などといった恐縮した形にする必要があります。
3.の場合 |
@と同じ「そうです」という言葉ですが、「君も客の立場だったら安い方がよいと思うだろうね」と言われたとき、これに応える接遇用語には、内容的に賛成するのではないが「ごもっともでございます」があります。
4.の場合 |
ここではこちらのミスを指摘されているのですから、謝罪の言葉で、しかも、徹底的に恐縮した態度を示すようにすべきです。その時の状況にもよりますが、「誠に申し訳ございません」「本当に申し訳ありませんでした」などになるでしょう。
9.文体を書き言葉にしてあらたまる言葉遣い |
あらたまった表現は大体において、用語や文体が書き言葉(文章語)的になるとの考え方があります。また、「ちょっと」が「しばらく」や「いましばらく」になるように、副詞にするような用法があるとも言われています。あらたまったスピーチ、挨拶の場合には、次のような言葉がよく使われます。今日→本日(ほんじつ)/今日(こんにち)、きのう→昨日(さくじつ)、おととい→一昨日(いっさくじつ)、さきおととい→一昨昨日(いっさくさくじつ)、あす→明日(みょうにち)、あさって→明後日(みょうごにち)、さっき→先刻(せんこく)・先ほど(さきほど)
???
1. 担当者と変わりますので、ちょっとお待ちください。 2. それはまた、えらくうまい話ですね。 3. あしたいきますよ。 4. 私のほうではそんなに早く完成させることは、とてもできませんよ。 5. 夕べの台風はすごかったですね。 6. 今日はご多忙中のところ、このようにたくさんの方においでいただきまして、ありがとうございました。 |
1.の場合 |
「担当者と変わりますので、少々お待ちくださいませ」となります。電話会話で、一頃よく「少しお待ちください」という人がいましたが、私は「少々、お待ちください」と、あらたまった「少々」にしたほうが自然だ、という立場をとっています。
2.の場合 |
「それはまた、たいそう結構なお話ですね」などの表現法があります。
3.の場合 |
「明日まいります」にします。
4.の場合 |
「私のほうではそのように早く完成させることは、到底できないのでござい(いたしかね)ますが・・・」などとなりましょう。
5.の場合 |
「夕べ」をあらたまった表現の「昨夜」にします。「昨夜の台風はすごかったですね」となります。
6.の場合 |
「今日」を「本日」に改めて、「本日はご多忙のところ、このようにたくさんの方々においでいただきまして誠にありがとうございます」にします。
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10.くずれる言葉遣い |
言葉は相手に分かればいいと言うものではありません。話す目的が達せられなければ意味がないことは繰り返し述べてきた通りです。仲間同士では使っても良い言葉でも、あらたまったときには、くずれてしまって品位を落としたり、「そんな仲じゃないぞ」と相手を怒らせることもあります。
質は違いますが、次のような言葉も、あらたまった言葉に言い換えた方がよいでしょう。
・あるって→あるいて ・あっち→あちら ・あとで→のちほど ・いくら→いかほど ・こっち→こちら ・そっち→そちら ・さっき→さきほど ・すごく、すっごく→とても、たいへん ・そんじゃ、それじゃ、じゃあ→それでは ・○○しちゃう→○○してしまう ・だれ→どなた ・ちょっと→少々 ・とても→まことに ・△△ちまう→△△してしまう ・どっち→どちら ・どう→いかが ・どこ→どちら ・ほんとうに→まことに ・わかんない→わからない ・お気にいりましたか→お気に召しましたか ・どうされました→いかがなさいますか |
11.表現を同格以上にする言葉遣い |
言葉は広い意味ですべてそうだとも言えますが、同格以下の相手には使って良い言葉でも、人によっては使わないようにしなければならない言葉もあります。
次にあげた言葉は2つとも、その意味で不向きだという代表的なものです。皆さんの周りにもこのような言葉が氾濫しているはずです。なれなれしいというよりも、教養を疑われることになるかもしれません。そのようなときでも正しい言葉が自然に出てくるようになれば、敬語能力が抜群に高い人と言うことになります。
???
1. 部長、私も用がありますので、上野駅までご一緒しましょう。 2. 金井先生、今日は本当にご苦労さまでした。(担当者が講演の終わった講師に) |
1.の場合 |
「ご一緒しましょう」は確かに同行するときの丁寧表現ですが、おもに同格の相手に対して使うことです。へりくだった表現にするためには、相手を主にした言葉遣いにしなければなりません。「お伴します」という言葉を使って、「部長、私模様がございますので、上野駅までお伴させていただきます」という言い方があります。人間関係ができていれば、別な表現で「お伴しましょう」という言い方もあります。
2.の場合 |
「ご苦労様」は、上位のものが下位の者の苦労をねぎらう言葉ですから、担当者から講師として招聘した先生に対していう言葉ではありません。どうしても言いたければ、「お疲れ様でした」ですが、「ありがとうございました」というお礼の言葉などで、その場にふさわしい言葉に取り替えた方がよいでしょう。
同格ではありませんが、次のような難しい表現があります。
「茨城から電話があったことを上田部長におっしゃってください」
「茨城から電話があったことを上田部長に申し上げてください」
「おっしゃってください」というと、その社員に対する敬意は現れますが、部長に対する待遇がなくなってしまいます。「申し上げてください」ならば、「申し上げる」で、しかも、部長に「ください」で相手に対する敬意を表すので、一応良さそうです。ところが「申し上げる」では部長より相手を低く見ていることになりますので気になります。「お伝えくださいませんか」「お言付けいただきたいのですが」と相手に焦点を合わせた話し方があります。
12.目上の人に使う言葉遣い |
何を基準にして、相互の上下を決めるのか、いろいろな考え方があります。例えば、職場における職制上の上位者でも年齢からすると若くて下位という場合もあります。
ところで、「くださる」「命令する」「指示する」「叱る」「採用する」などは、原則として、目上の人から目下の人への動作を示す言葉です。これを逆に、下から上の人へ対する動作として間違った使い方をする人がいます。先に述べた「ご苦労様」というのも同じような傾向にあります。
???
1. 私どもの課は、上司からの報告が遅いため、いつも混乱しています。 2. 大村社長、社長のお話を友人の岡本君がずいぶん褒めていましたよ。 3. 皆さんは、部下から叱ってもらっていますか。 4. 私の課では、今月の目標に、丸山部長から提案のあった○○を採用することになりました。 |
1.の場合 |
「報告」は「知らせる」目的を持った話しの働きです。上司から部下へということですから、「伝達」か、内容によっては「指示」に変えた方がよいでしょう。「私どもの課では、上司からの指示が遅いために、いつも混乱しています」くらいにしたらどうでしょうか。
2.の場合 |
平社員が社長を「褒める」というのも違和感があります。「感銘する」か、「感動する」のような言葉に置き換える方法があります。「大村社長、社長のお話に、友人の岡本君が大変感動していました」とすれば、話し手の真意は伝わるでしょう。
3.の場合 |
「叱る」内容や目的は同じでも、「叱られていますか」はちょっと抵抗があります。上司が部下を叱ることは当たり前のことです。この場合、「部下から忠告を受けていますか」または「忠告してくれる部下を持っていますか」と言い換えた方がよいでしょう。
4.の場合 |
「採用したい」に疑問を持つ人がいると思います。「私どもの課では、丸山部長のお考えを今月の目標にさせていただくことになりました」と変えてみたらどうでしょうか。
このように、言葉遣いに微妙な差が出てきますので、慎重を要します。しかし、学問的に厳密な使い分けなどと考えすぎると話せなくなりますので、敬意を表す語調、ムードがあれば救われるでしょう。
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これまで、職場における基本的な言葉遣いを考えてきましたが、ここでは、その場、その時に状況、目的に応じた言葉遣い、話し方を取り上げます。
1.返事のための言葉遣い |
挨拶は人間関係を作るきっかけになる投げの働きをしますが、返事はその受けの姿です。もっとも、返事も、それぞれの状況に従ってその内容が異なってきます。「ハイ(拝、背、配)の心」と言いまして、返事をしないというのは、相手から作ってくる人間関係を拒否しているようなものです。いやいやながら、暗くて低い声で返事をする人もいますが、素直さを疑われたり、何かあるのではないかと、疑惑感を持たせたりします。
1.返事の仕方 |
a.明るい声で
「ハイ」と明るく返し、先手を取られた人間関係を積極的に取り返しましょう。
b.相手に向かってする
そっぽを向いて返事をされたら、受け取る方は、適当にあしらわれたと、快く受け止めないでしょう。
c.積極的にする
いやいやながらするとか、仕方なくというのでは、せっかく相手から作ってくる人間関係に水を差すことになりますので、「なんでしょうか」と積極的に返しましょう。
d.すぐにする
間が開きすぎる人もいますが、これでは間延びがします。人間関係を作る気をそがれないようにしましょう。
2.挨拶の受けとしての返事 |
「はい」「おはようございます」「はい、かしこまりました」「はい、承知しました」「わかりました」「どうぞお入りください」「こちらこそ、お世話になります」
3.呼ばれたときの返事 |
「はい、なんでしょうか」「お呼びでしょうか」「はい、ただいままいります」「少々、待ちください」「いらっしゃいませ、社長室へご案内いたします」などと、その場に応じた受け方があります。
4.依頼されたときの返事 |
「はい、承知しました」「はい、かしこまりました」「確かにやっておきます」「来週の金曜日までにお届けいたします」「申し訳ありません。私どもではいたしかねますが・・・」
5.叱られたときの返事 |
「申し訳ありません」「気が付きませんでした」「以後注意します」「今回まではお許しください」「この次は、間違いなくやります。今日は本当にご迷惑をおかけいたしました。申し訳ありませんでした」など。
6.帰宅の人を迎えるときの受け方 |
「お帰りなさい、今日はずいぶん早かったですね」「お帰りなさい、予定の時間が過ぎましたので、どうかなさったのではないかと心配していました」など。
7.やっていけない返事 |
「ハイハイ」という重ね返事、「はーい」というわざとらしい返事、「ヘイ」といった特殊な返事は避けるべきです。返事はすぐに、相手を見て、明るく、素直に、とえたらよいでしょう。
2.訪問の都合を尋ねるときの言葉遣い |
他人を訪問するとき、予告もしないでいきなり訪ねないということです。訪問する前に先方の都合を尋ねてからというのが現代人のマナーです。
突然訪問すると、相手の予定を狂わせたり、迷惑を掛けることになります。また、相手が不在の時は、自分だって無駄足を踏むことになります。
現代のようなテンポの速い社会生活では、いつでも勝手に訪問されてよいという自由な時間は少ないものです。お互いに忙しく、かけがえのない時間を生きているのですから、訪問するときは、必ず前もって相手の都合を聴くようにすることです。
1.都合を尋ねるとき注意したいこと |
a.訪問者自身が直接尋ねること
第三者が入ると、食い違いが起こりやすいものです。直接尋ねましょう。
b.月日、時間、場所をはっきりしておくこと
「○月○何時何分」のように具体的な約束をすべきです。「何時頃」「午前」「午後」などのように曖昧な決め方を避けることです。「何時何分」と具体的にします。また、場所も曖昧さがないように決めておくとよいでしょう。駅での待ち合わせで行き違いになるのは、この曖昧さのためです。
2.都合を尋ねるときの言葉遣い |
「折り入ってお願いしたいことがございますが、何時頃うかがったらよろしゅうございましょうか」
「この前お電話をいただきました○○の件でございますが、直接お話申し上げた方がよいと存じますので、お訪ねしたいのですが、どちらへお訪ねしたらよろしゅうございましょうか。いつでもご指定のところへ、私まいりますが」
「○○部長にご相談したいことがございまして、そちらへおじゃましたいのですが、いいでしょうか。何時頃ご都合がよろしいか、うかがわせていただきたいと存じます」
「○月○日午後○時頃、おじゃましたいと存じますが、おさしつかえないでしょうか」
「○○の件でこちらからすぐお訪ねしたいのですが、お時間は如何でしょうか」
以上のような場面は日常よくありますので、一つのパターンとして身につけておけばよいでしょう。
3.新任、転任ときの言葉遣い |
言葉遣い、話し方全般に言えることですが、挨拶には言葉に心を添えてということ、つまり心を込めて誠実に話すことです。
ただ本心だからといって、いきなりぶっきらぼうになったら、他者との関係は切れてしまいます。「必要なときに、必要なことを、必要な方法で」というのは、この場合でも欠かせない言葉遣いの原則です。
心理は単純な中にあるのです。日常的な言葉遣いでも身長にすべきです。気持ちを込めて素直な挨拶に努めたいものです。
1.新任に関する挨拶と受けの挨拶 |
(例1)
「私は○○会社の営業課長として昨日赴任しました。畠中一夫と申します。これからいろいろとお世話になりますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。ご挨拶にうかがわせていただきました」
「そうですか、それはそれはご丁寧にわざわざ恐れ入ります」
「こちらこそ、どうぞ宜しくお願いいたします」
(例2)
「長谷部です、今度の定期異動で総務部配属になりました。これからいろいろご指導をお願いいたします」
「人事部の吉田昭夫と申します、どうぞ宜しくお願い申し上げます」
2.転出する人への挨拶を受ける人の挨拶 |
(例1)
「長い間、何かとお世話になりました。本当にありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます」
「これはほんの気持ちだけですが、何かお役に立てていただければありがたいと存じます。ではお気をつけになって」
「わざわざご丁寧に恐れ入ります。私こそ大変お世話になりました。皆さんもどうぞ、お元気でお過ごしください」
(例2)
「このたびのご栄転、おめでとうございます。長い間いろいろとご指導をいただきまして、ありがとうございました。お帰りをお待ちしております」
「ありがとうございます。皆さんとまたご一緒に働く日を願っております。皆さんも、どうぞお元気で
3.この時の挨拶で注意すること |
a.新任の挨拶はできるだけ早くする
b.事務的な挨拶や、なれなれしい挨拶にならないように気をつける
c.転出する人は、また合うときの余韻を残して言う
d.気持ちを込めた挨拶で、心に響くようにする
4.褒められ方に関する言葉遣い |
人は誰でも褒める言葉を渇望しています。ですから、温かい言葉や励ましの言葉、その人を認めた褒め言葉は、それを受けた人に自信と勇気を与えてくれます。その自信と勇気が、次の行動へのやる気を駆り立てる強い推進力になります。
その結果、その人を成長させるための強力なバネになるものです。
米国の作家マーク・トウエインは「人は一度褒められると二月楽しくなる」と言ったそうです。
私たちは自分に注目してもらいたい、目立ちたい、受け容れてもらいたいなどと願っていながら、突然褒め言葉に出合うと、どうしたらよいのか戸惑うことがよくあります。
褒められ方が下手だったために、褒めた事実まで帳消しになることだってあるのです。
褒め言葉も上品にうけないとかえって逆効果です。褒められ方まで努力しなければならないとなると、息が詰まりそうですが、現実問題として必要なことです。
1.素直に受ける |
大袈裟に照れたりしてはいけません。「ありがとうございます」「そういってくださると本当に嬉しいです」などと素直に受けることです。
2.不必要な言い訳をしない |
「とんでもないです」「そんなことありません」などと拒否されたら、褒めなければよかったと、褒めた人を不愉快にしてしまいます。善意波方を的に追いやってしまうというのは、愚かなことです。遠慮もほどほどにしないと、対人関係をシラケさせてしまいます。先人達の言った通り「謙虚も度を過ぎると傲慢になる」のです。言い訳は、結果的にそれ以上の褒め言葉を強要しているようなものだからです。
3.有頂天にならない |
調子に乗って有頂天になる人がいます。「調子いいなあ」と軽さを感じさせるものです。このような人はある種の親しみは感じさせますが、尊敬されることはないと知るべきです。
★照れないで相手の厚意を素直に受ける ★抗弁したり、不必要な言い訳をしない ★調子に乗って有頂天にならない ★褒められたことに値するように努力する |
5.しこりを残さない断りのための言葉遣い |
人生は説得と逆説得、つまり、断りの連続といってよいでしょう。一般の社会生活でも断る場面は多いですが、職場でも、指示されたことすら、ことと次第出によっては断らなければならないことがあります。
しかし、上手に断るのは大変むずかしいものです。私たちは、次のような断りの場面によく出会います。セールスを断る、仕事を断る、紹介を断る、借金を断るなど、さまざまな断りが日常茶飯事という暗いです。
拒否的な態度や素っ気ない聴き方をされると、最初から断るために付き合っていたのだ、としこりを残すことがあります。
それでは人間関係にヒビを入れてしまいます。特に、上位の人、お客様などに対する断りは慎重を要するところです。
1.親しみを込めて最後まで聴くこと |
辛抱強く、相槌を打って熱心に相手の話に耳を傾けることです。
2.「ノー」をはっきりすること |
曖昧に答えて、あまり期待を持たせますと、後で断られたときの反動が大きいものです。「騙された」「ウソをついた」などとならないようにすることが大切です。
3.抵抗を和らげる言葉を入れること |
「申し訳ありませんが」「すみませんが」「悪いですが」「恐縮ですが」などと、断りのショックを和らげるような言葉を入れて「ノー」と言うべきです。
4.応じられない理由や事情を示すこと |
借金を申し込まれそうだとか、厄介なことを頼まれそうだと予想されたら、「いま不景気でね、台所は火の車だよ」とか、「儲からないのにやたらに忙しくてね。いろいろな頼み事にも、全部不義理を重ねている始末でね。とにかく忙しい」などと、それに対して人間関係によってはこのような予防線を張るのも効果的でしょう。
5.代案があればそれを示すこと |
「2週間ほどお時間をいただけましたら、何とかお届けできますが」「今月いっぱいでしたら間に合いますが、如何でしょうか」「今日は駄目ですが、明日なら何とかなりますが」などです。代案が示されれば抵抗は一段と弱まりますし、後は話し合いで歩み寄ることができます。
★相手の話に耳を傾けて協力的に聴く ★不必要な期待を残さないよう「ノー」をはっきり言う ★抵抗を和らげる言葉を入れて、丁寧に断る ★納得できる理由や根拠を示して、理性肯定に訴える ★代案があればそれを示して、相手の納得を得る |
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